80代の父に運転をやめてほしい。でも私は子どもの頃から父が苦手だった。④

父と娘

手術は成功。でも父は「治った」と思っていた

お盆に帰省した際、私は父に心不全の状態や運転の危険性について説明する資料を作りました。

説明したその日の反応は薄かったものの、翌朝、父から

「つまり、心臓は悪いってことか?」

と聞かれたことで、少しだけ伝わったのかもしれないと感じたことを前回の記事で書きました。

そして9月。

父は予定どおり心臓の手術を受けました。

私は手術後の様子を確認するため、仕事の休みを取って帰省することにしました。

入院中の父を見るはずだった

当初の予定では、水曜日に手術を受け、退院は翌週の月曜日になると聞いていました。

私は父が入院している間に帰省し、病院で様子を見ようと思っていました。

ところが手術後の経過は予想以上に良かったようです。

父は水曜日に手術を受け、その週の土曜日には退院してしまいました。

私が帰省する頃には、すでに自宅へ戻っていたのです。

そのため今回は、入院中の父ではなく、退院直後の父の様子を確認する帰省になりました。

父は驚くほど元気だった

実際に会ってみると、父は思っていた以上に元気でした。

手術自体は無事に成功。

本人も、

「特に大変だったという感じはしない。つらいこともない。」

という様子でした。

退院直後だったこともあり、自宅でおとなしく過ごしていました。

普段の父なら家の外へ出たがるところですが、この時ばかりはさすがに静かにしていました。

私は、

「さすがにしばらくは無理をしないだろう」

と思っていました。

父が驚いたのは私の帰省だった

私は普段、お盆と正月くらいしか帰省しません。

そのため9月という中途半端な時期に帰省したこと自体が珍しいことでした。

父も少し驚いていたようでした。

もともと父と私は会話の多い親子ではありません。

子どもの頃から父は威圧的なところがあり、私は距離を置いてきました。

大人になってからも必要以上に深く関わることはありませんでした。

それでも今回は、いつもより多少は会話をしたように思います。

病気のこと。

手術のこと。

今後のこと。

話題は自然と父の身体のことになりました。

また「治った」と思っているようだった

話を聞いていて気になったことがありました。

父は今回も、

「手術したから良くなった」

と思っているようだったのです。

もちろん手術は成功しています。

しかし今回の手術は、心臓そのものを元の状態に戻す手術ではありません。

血栓ができるリスクを下げるための手術です。

私は改めて、

「心臓そのものが若い頃のように元気になったわけじゃないんだよ」

と説明しました。

しかし父の反応を見る限り、どこまで伝わったのかは分かりませんでした。

おそらく父の中では、

「手術が終わった」 → 「だから大丈夫」

という理解になっているように感じました。

お盆に資料を作って説明したはずなのですが、人の認識というものはなかなか変わらないものだと改めて思いました。


そして白内障の話になった

父は耳が遠いだけではありません。

脳梗塞の後遺症による視野狭窄があります。

さらに両眼に白内障があります。

そのため10月には白内障の手術を予定していました。

そんな父が言った言葉に、私は思わずぞっとしました。

父はこんなことを話したのです。

「今の眼鏡が合わないんだ」

「白内障だから見えづらい」

「早く手術したい」

「手術したら眼鏡も新しく作り直すんだ」

私がぞっとした理由

父は悪気なく話していたのだと思います。

でも私はその言葉を聞いて背筋が寒くなりました。

なぜなら父は、

今の眼鏡が合っていないことを自覚している

ということだからです。

見えづらい。

眼鏡が合わない。

白内障が進んでいる。

それを本人も認識している。

それなのに車を運転している。

その事実に私は改めて恐怖を感じました。

私が心配しているのは視野狭窄だけではありません。

心不全だけでもありません。

耳の聞こえだけでもありません。

複数の問題が重なっていることが怖いのです。

もう一度伝えた

帰る前に、私はもう一度父に言いました。

「車の運転は今はしないで」

以前も伝えた言葉です。

今回も伝えました。

父は否定もしませんでした。

かといって同意もしませんでした。

返事らしい返事はありません。

うんともすんとも言わない。

そんな反応でした。

私はそれ以上は言いませんでした。

口論になってしまうと思ったからです。

母には伝えて帰った

帰る前に母には、

「父には運転を控えるよう伝えておいたから」

と話しました。

母も父の運転を心配しています。

けれど父の性格を一番よく知っているのも母です。

簡単に変わる相手ではないことも分かっています。

だから私たち家族にできることは限られています。

それでも何もしないわけにはいきません。

さすがにしばらくは大人しくしていると思っていた

短い帰省を終え、自宅へ戻りました。

退院したばかり。

心臓の手術も終わったばかり。

白内障の手術も控えている。

さすがに1~2週間くらいは家でおとなしく過ごすだろう。

私はそう思っていました。

もちろん運転もしないだろうと思っていました。

しかし、その考えは甘かったのです。

次回

手術からわずか数日後、私の予想を超える出来事が起こりました。

母から届いた一本の電話で、私は再び運転の問題と向き合うことになります。

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