父は変わらないと思っていた。でも、少しだけ変わったこともあった
前回の記事では、退院したばかりの父が母に黙って車で出かけたこと、そしてその直後にペースメーカーの不具合が見つかり再入院したことについて書きました。
正直、あの時の私はかなり失望していました。
せっかく手術を受けた。
何度も話をした。
資料まで作った。
それなのに、退院してわずか数日で運転してしまった。
「やっぱり何も伝わっていなかったのか」
そんな気持ちになっていました。
前回の記事も、自分で読み返してみるとかなり悲観的です。
でも少し時間が経ってから冷静に振り返ってみると、父はまったく変わっていないわけではないのかもしれない、と思うようになりました。
もちろん、運転をやめたわけではありません。2
ただ、ほんの少しだけ変化した部分もあったのです。
どうしてもやめてほしかった「週1回の往復2時間運転」
父にはここ2年ほど続けている習慣がありました。
週に1回、用事のために車で片道1時間ほど離れた場所へ行くのです。
父以外、この運転が一番心配でした。
近所の買い物ですら不安なのに、片道1時間の運転です。
脳梗塞による視野狭窄。
心不全。
難聴。
白内障。
そうした状況を考えると、どうしてもやめてほしかった。
そこで私たち家族は、
「せめてこの週1回だけでもタクシーを使ってもらおう」
と考えました。
タクシー代は負担
当然ですが、片道1時間のタクシー代は安くありません。
それでも私は母や兄弟と話し合いました。
結論はシンプルでした。
お金の問題ではない。
事故を起こすリスクを考えたら安いものだ。
家族全員がそう考えていました。
タクシー代について反対意見はありませんでした。
むしろ、
「できるならそうしてほしい」
という認識で一致していました。
お盆に私がお願いしたこと
だからお盆に帰省した際、私は父にお願いしました。
その週1回の外出だけでもいいから、タクシーを使ってほしい。
車ではなくタクシーで行ってほしい。
そのために母にもお願いしました。
タクシー会社へ連絡すること。
往復料金の見積もりを取ること。
利用しやすいよう準備しておくこと。
できることは事前にやっておこうと思いました。
父を説得する自信はありませんでした。
だからせめて、
「利用しようと思えばすぐ利用できる状態」
を作ろうと考えたのです。
最初の週は失敗した
結果から言えば、最初はうまくいきませんでした。
父は母の目を盗み、自分で運転して出かけてしまいました。
私はかなり落胆しました。
結局、父は何も変わっていない。
そう思いました。
2回目に起きたこと
ところが次の週です。
父はまた車で出かけようとしていました。
そのことに、母が気付いたそうです。
すぐにタクシー会社へ連絡。
父は当然激怒。
怒鳴らののしられ、
それでも母はなんとか時間を稼いだそうです。
父をなだめたり、
話をそらしたりしながら、
タクシーが到着するまで持ちこたえたようです。
そして最終的に父はタクシーを利用しました。
しかも母も一緒に乗って。
母が頑張っている
私は遠方に住んでいます。
普段の生活は見えていません。
電話で話をすることはできても、日々父と向き合っているのは母です。
父から怒鳴られ。
文句を言われ。
それでも現実的な対応を続けている。
一番大変なのは母だと思います。
「運転しないで」とは言っていない
私は父に対して、
「もう運転するな」
とは言っていません。
言えない、という方が正しいかもしれません。
私はずっと、
「今は運転しないで」
と言っています。
なぜそんな言い方をするのか。
理由は簡単です。
父は昔からそういう人だからです。
正面から否定すると逆効果になる
もし私が、
「もう運転するな」
「免許返納しろ」
と正面から言ったらどうなるか。
父は恐らく逆上します。
そして意地になります。
さらに悪いことに、
「まだ運転できる」
ことを証明するために積極的に運転することが容易に想像できます。
私はそういう父を何十年も見てきました。
だから正論を言えば解決する問題ではないのです。
私の甘い期待
正直に書きます。
私は少し期待しています。
もしかすると、父自身が身体の変化を自覚する日が来るかもしれない。
運転が不安になる日が来るかもしれない。
心不全。
難聴。
白内障。
視野狭窄。
様々な問題が重なっています。
その中で本人が、
「さすがにもう無理かもしれない」
と思う日が来るかもしれない。
そんな淡い期待を持っています。
もちろん甘い考えかもしれません。
父の性格を考えれば、そんな簡単にはいかないとも思います。
少なくとも一歩も進んでいないわけではない
父はまだ運転しています。
運転問題は解決していません。
それでも今回振り返ってみて思いました。
最初の週は運転してしまった。
でも次の週はタクシーを使った。
もちろん父が納得して使ったわけではありません。
それでも結果だけ見れば、以前とは違う行動を取っています。
一歩とは言えないかもしれません。
半歩かもしれません。
それでもゼロではありません。
最近の私は父のできていないことばかり見ていたような気がします。
でも本当に変化がないのかと言われると、そうでもない。
そう思えるようになりました。

コメント